S&P500の上昇に関連してBAA10Yに注目すべき理由 | 米国株投資について語る
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S&P500の上昇に関連してBAA10Yに注目すべき理由

作成日: 2023年04月02日

更新日: 2023年04月03日

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はじめに

S&P500が急上昇しています。

S&P500

3月頭にSVBの破綻などによる金融不安が生じた結果、S&P500は一時的に激しく下落しましたが、3月最終週はほとんど一本調子で上昇し、2023年初頭から7.46%も上昇しています。

このまま上昇し続けるのならば、いま買ってみてもよいでしょう。

本当に買ってもよいのでしょうか?

この記事では、いまS&P500を買うリスクを、BAA10Yを用いて考えます。

この記事のポイント

  • BAA10Yは経済の健全性を測る指標であり、不況の際に急上昇する経済指標である。
  • BAA10Yが上昇すると、社債のリスクを意識した投資家が、安全資産である国債を買い始めるため、株式市場が荒れることがある。
  • リーマンショック前のように、株価が上昇しているがBAA10Yも上昇している局面は、レバレッジ局面とも言われ、注意が必要である。
  • S&P500の上昇に伴い、BAA10Yの上昇も懸念されるため、今後の投資戦略には注意が必要である。

直近のBAA10Yの推移

BAA10Yとは、社債スプレッドとも言われる量で、「BAA10Y = Moody's社BAA格付け10年社債利回り - 10年国債利回り」です。

よって、社債利回りが高い&国債利回りが低くなると、BAA10Yは高くなります。

BAA10Yは経済の健全性を測る指標として用いられ、信用サイクルの崩壊を伴う大不況の際には急上昇します。

実際、2008年のリーマンショック、2020年のコロナ不況の際には急上昇していました。

BAA10Y

最近のBAA10Yの推移を見てみましょう。

BAA10Y

2023年初頭から3.94%も上昇しています。

社債のリスクを意識し始めた投資家が、社債を売却し、安全資産である米国債を買い始めた動きとも言えるかもしれません。

これを受けてか、Virgin Orbitという宇宙開発スタートアップが破綻寸前のようです。

これも資金調達が難しくなったことによる破綻とのことでした。

Here’s what went wrong with Virgin Orbit

BAA10YとS&P500の推移の比較

さて、BAA10Yが高くなろうと、S&P500が上昇し続けるならば、投資家にとってはあまり関係ないとも言えるかもしれません。

しかしそうではありません。

リーマンショック前、ダウジョーンズ指数が多少の波はありつつも上昇していたのに対し、BAA10Yに急上昇していたのです。

BAA10Y and Dow Jones Index before the bankruptcy of Lehman Brothers

この後ダウジョーンズは大暴落したわけです。

このように株価は上昇しているがBAA10Yも上昇している局面はレバレッジ局面とも言われ、注意が必要です。

金利を見れば投資はうまくいく | 堀井正孝 著

いまS&P500に投資するべきか?

さて、仮にいまレバレッジ局面であるならば、S&P500に積極的に投資するのは避けたほうがよいと思います。

レバレッジ局面であれば、リーマンショック前のように数ヶ月後から1年後に大暴落する恐れがあるからです。

キーになるのは「いまが本当にレバレッジ局面なのかどうか?」だと思いますが、これはまだ判断できないと考えています。

これから数ヶ月様子見て、 BAA10Yが急上昇する場面があれば、全力で手持ちの株を売ってもよいと思います。

いがらしが考える今後のシナリオ

私が考える今後のシナリオは以下です。

発生確率なども記載していますが、あくまで私の考えなので、参考程度にしてください。

ハードランディングシナリオ (信用サイクルの崩壊による深刻な不景気)

発生確率: 20%

リーマンショックのようなパターンです。

リーマンショックの場合、ダウジョーンズは2007/1/1から2009/03/09あたりの底値まで45%近く下落しています。

まだ発生確率は小さいと考えていますが、発生した場合の損害が非常に大きく、不景気の期間も長くなるので細心の注意を払わなければなりません。

金融政策のシフトによる軽い不景気シナリオ

発生確率: 60%

信用サイクルの崩壊などは発生せず、FRBの金融政策のシフトによる不景気です。

2000年初頭(2001年3月から11月)の不景気が近いでしょうか。

2001年3月から11月までダウジョーンズは、最大20%の下落ですから、リーマンショックほどではないとはいえ侮れません。

ソフトランディングシナリオ

発生確率: 15%

FRBの巧みな舵取りにより、金融サイクルの不景気も発生しないシナリオです。

この場合は株価の下落があまり生じません。

FRBの手腕次第ではありそうですが、あまり確率は高くないと考えています。

何らかの有事発生シナリオ

発生確率: 5%

災害や戦争、テロなどが発生するシナリオです。

戦争としてはすでにウクライナ侵攻が発生していますが、アメリカ軍が参加するような戦争が発生すると株価が大きく動くかもしれません。

結論

現時点では、いまがリーマンショック前のようなレバレッジ局面なのか判断できないと思います。

むしろ、前述したように、大不況が起こる可能性というよりは、2001年初頭のような軽い不景気が起きる可能性が高いと思います。

とはいえ軽い不景気による株価の下落も侮れません。

一時的に大きく下落するリスクも考えつつ、慎重に投資するのが良いと思います。

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