今日の投資環境スコア: -4
更新日: 2025年04月20日
必要なデータは、セントルイス連邦準備銀行が提供しているhttps://fred.stlouisfed.org/ から取得しています。
投資環境スコアとは? - 投資判断の羅針盤
投資環境スコアとは、堀井正孝さんによる改訂版 金利を見れば投資はうまくいくで紹介されている、投資判断をサポートする指標です。
投資環境スコアは10から-10までの数値で表され、-6を下回ると景気減速の兆候、株式投資から債券投資への移行を検討するサインとなります。
逆にスコアが上昇傾向にある場合は景気回復局面を示唆し、株式投資で収益を上げやすい環境と考えられます。
投資環境スコアの計算方法 - 4つの重要指標
投資環境スコアは、以下の4つのアメリカ経済指標に基づいて計算されます。各指標はセントルイス連邦準備銀行のデータベースから取得できます。
- アメリカ政策金利(FEDFUNDS)
- アメリカ10年国債利回り(US10Y)
- アメリカ社債スプレッド(BAA10Y)
- 米ドル指数(DTWEXBGS)
これらの指標は、世界経済を牽引するアメリカの金融政策や信用サイクルを反映するため、世界経済の動向を把握し、より的確な投資判断に役立ちます。
アメリカ政策金利(FEDFUNDS)
FEDFUNDSとは、アメリカ連邦準備制度理事会が設定する連邦基金金利を表す指標です。アメリカの金融政策の動向を把握するために注目される指標で、金融政策サイクルに影響を与える重要な指標です。
アメリカ10年国債利回り(US10Y)
US10Yとは、アメリカ10年国債の利回りを表す指標です。アメリカの金融政策や経済状況を反映するために注目される指標です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
アメリカ国債の利回り(US10Y)、金利とは?フィッチによる米国債の格下げの影響は?
アメリカ社債スプレッド(BAA10Y)
BAA10Yとは、アメリカ社債利回りとアメリカ10年国債利回りの差を表す指標です。景気に大きな影響を及ぼす信用サイクルの動向を把握するために注目される指標です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
2023年、注目するべきBAA10Y(社債スプレッド)とは?不景気を予測できるのか?
米ドル指数(DTWEXBGS)
米ドル指数(DTWEXBGS)とは、米ドルの対ユーロ、対円、対ポンド、対カナダドル、対スイスフラン、対豪ドルの6通貨ペアの加重平均を表す指標です。米ドルの対外価値を反映するために注目される指標です。
投資環境スコアの推移 (2024年8月以降) - 過去のデータ分析
2024年8月以降の投資環境スコアの推移を以下に示します。過去のスコア変動を分析することで、今後の投資戦略を立てる参考にしてください。
日付 | 投資環境スコア |
---|---|
2024-08-01 | 2 |
2024-09-02 | -2 |
2024-10-01 | 2 |
2024-11-01 | -2 |
2024-12-02 | 2 |
2025-01-01 | 4 |
2025-02-01 | 4 |
2025-03-01 | 2 |
2025-04-01 | -6 |
現在の投資環境
2025年4月20日現在の投資環境スコアは-4と、トランプ相場が吹き荒れた4月上旬からは改善しましたが、全世界の市場のボラティリティ激しい動きが続いています。ダウ平均株価は4/20現在$39,142です。
投資環境スコアに深く関係する金利の観点では、アメリカ10年国債利回り(US10Y)の動きが気になります。
株式が下落する場面では安全資産である米国債が買われるのが常でしたが、今回は米国債も売られています。 トランプ大統領の予測がつかない関税政策を反映し、米ドルの信用が揺らいでいるのかもしれません。 もしそのような事態が表面化すると、米国債を安全資産とする金融の根幹がゆらいでしまうことも考えられるので、影響は非常に大きいでしょう。 ドル信認問題、開いたパンドラの箱 | 日経新聞
ちなみにアメリカ財務省が発表したデータによると、中国が米国債の保有量を2024年1月から2025年1月にかけて400億ドルほど減らしています。 これも大きな懸念材料で、米国債離れが加速すると更に金融市場が不安定化する可能性もあります。 https://ticdata.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Documents/slt_table5.html
金利に関してもう一つ頭が痛いのは、アメリカ社債スプレッド(BAA10Y)です。4/1から4/13にかけて非常に鋭くBAA10Yが立ち上がっています。
BAA10Y = アメリカBAA各社債利回り - アメリカ10年債利回り
ですから、このBAA10Yの動きはアメリカBAA各社債利回りの動きを反映しています。
どうやら高利回りの低格付け社債が売られているようです。
米高リスク融資、信用収縮の火種に 過去最大の資金流出 | 日経新聞
近い将来、低格付けのアメリカ企業が資金繰りに困り倒産するのが相次ぐ可能性もあるかもしれません。
トランプ政権としても金利が上昇しているのは困るのかFRBのパウエル議長に対して利下げを促していますが、FRBとしてもインフレ再発懸念がある以上利下げに慎重にならざるを得ない事情があります。最近のCPIを見てみましょう。
データ期間 | 前年比 結果 | 食品・エネルギー除くコア・前年比 結果 |
---|---|---|
2025年03月 | 2.4% | 2.8% |
2025年02月 | 2.8% | 3.1% |
2025年01月 | 3.0% | 3.3% |
2024年12月 | 2.9% | 3.2% |
2024年11月 | 2.7% | 3.3% |
2024年10月 | 2.6% | 3.3% |
2024年09月 | 2.4% | 3.3% |
2024年08月 | 2.5% | 3.2% |
引用: https://fx.minkabu.jp/indicators/US-CPI
FRBが利下げを始めたのは2024年9月です。そのときと2025年3月から物価上昇率が低下しているか?というと、データを見ると微妙なところかもしれません。 さらなる利下げのためにはワンノッチ欲しいというところでしょう。 しかしトランプ大統領はSNSで利下げを要求し、激しくパウエル議長を「口撃」しています。
トランプ氏、FRB議長は「一刻も早く解任」 利下げ要求 | 日経新聞
FRBの政治からの独立性が侵害されつつある事態です。アメリカの政治がこの状態では、投資家がアメリカから資金を引き上げるのも無理はないでしょう。
個人投資家が資産を守るためには
厳しい投資環境が続いているなか、個人投資家が資産を守るためには、以下を徹底すると良いでしょう。
- 優良企業のみに投資する
- アメリカ企業に投資する場合、ビジネスが盤石であり負債が少ない優良企業を選ぶと良いでしょう。
- 日本企業に投資する場合、ビジネスと財務資質が良いことはもちろんですが、アメリカと関係が深い企業は避けた方が無難かもしれません。内需株でありつつも成長著しい企業が良いでしょう。自分としてはKeeper技研や寿スピリッツといった企業が良いと考えており、投資機会を見計らっています。
- 総合商社や自動車などのグローバル企業は厳しいかもしれません。彼らが世界中に構築したサプライチェーンがトランプ関税により打撃を受ける可能性があるからです。しかし、総合商社はこういった危機を何度も乗り越えてきています。今回はどんな対応をするのか見守りましょう。
- 投資先が見つからない場合は投資をしない
- 投資をしないことも選択肢に入れましょう。満足のいかない企業に投資をしても良くないですし、価値がわからない企業に投資をするのも良くありません。現金を保全し、次の投資機会を待つのも手です。バフェットは「いい時にしかバットを振らない」のですから。
このブログの管理人について
このブログの管理人である私「いがらし」は、ウォーレン・バフェットのバリュー投資に基づく投資を行っている個人投資家です。 投資歴は5年で、大学卒業後に金融機関に勤務したことをきっかけに株式投資を始めました。
当初は短期的な売買で失敗も経験しましたが、バリュー投資に出会い、企業のファンダメンタルズを重視する現在の投資スタイルを確立しました。
私の投資哲学は、割安な価格で放置されている優良企業を見つけ、長期的な視点で成長を1応援することです。 現在のポートフォリオについては以下のページをご覧ください。
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