2023年に向けた投資戦略:ディフェンシブ株への投資が注目
作成日: 2022年12月17日
更新日: 2023年03月21日
はじめに
日本時間12月15日の未明、米国ではFOMC(Federal Open Market Committee, 米国の金融政策を決める会合)が開催されました。
今回のFOMCでは、0.5%の政策金利の利上げが発表されたのですが、これは大方の予想通りでした。
市場を驚かせたのは、FOMCが2023年の中頃には失業率が4.6%となることを予測したことです。
December 14, 2022: FOMC Projections materials, accessible version
2022年中頃の失業率が3.7%ほどだったことを考えると、1年の間に0.9%も失業率が上がることになり、その場合はほぼ確実に米国は不景気となってしまいます。
どの程度の不景気となるかはわかりませんが、ほかの経済的、地政学的なリスク等も考えると、激しい景気後退となる可能性も考えた方がよいと思います。
それでは、2023年に向けてどんな米国株を買うべきなのでしょうか?
前回の記事ではBLV等、米国の長期国債ETFに投資するアイデアをご紹介しましたが、分散投資のためにも、ほかの株にも投資する戦略を考えてみましょう。
2023年の投資戦略
不景気となる可能性が高い2023年、どんな株に投資するべきなのでしょうか?
一般に不景気のとき、投資対象として選ばれることが多いのは、ディフェンシブ株だと思います。
ディフェンシブ株というのは、景気によって価値が上下しにくい株のことです。
ディフェンシブ株がポートフォリオに占める割合を増やすことで、景気後退が起こっても資産全体の価値が下がりにくくなります。
積極的に資産を増やすというよりは、資産の価値が下がりにくくしたいとき、ディフェンシブ株への投資を考えます。
(Defensive Investment Strategy)
Investopedia | Defensive Investment Strategy
このDefensive Investment Strategyが、2023年のメインとなる投資戦略だと思います。
それでは、Defensive Investment Strategyにおいてどんな株を買うべきなのでしょうか?
Defensive Investment Strategyで買う銘柄
ディフェンシブ株の代表的なセクターは、電力、水道、ガスなど、インフラを支える公益事業です。
これらのセクターは、景気によって需要があまり変わらず、好況時と変わらない収益性が期待できます。
個別株を買ってみてもよいと思いますが、分散投資のためにも、ETFを買うとよいでしょう。
公益事業セクターのETFといえばVPUです。
VPUは、バンガードが運営するETFであり、電力等の公共事業セクターだけで構成されています。
今回の利上げにより、さすがのVPUでも1.6%下げていますが、少量持っておくと、資産の価値が下がりにくくなると思います。
実際、2022年初頭から2023年3月までのVPUとS&P500のパフォーマンスを比べてみると、VPUが-5.6%の下落で踏みとどまっているのに対し、S&P500が-18%も下落しています。
このことから、全資産をS&P500だけで持つよりは、少量のVPUを組み入れておくと資産の目減りをある程度防ぐことができる、と言えるでしょう。
終わりに
この記事では、資産の価値を下がりにくくするDefensive Investment Strategy, Defensive Investment Strategyで買うべきセクターをご紹介しました。
全資産のディフェンシブ株が占める割合を決めておき、安くなったタイミングで少しずつ買っておくとよいかもしれません。