今日の投資環境スコア | 最新の指標と今後の投資戦略 | いがらしの株式・債券投資ノート – 初心者から学べる資産運用術

今日の投資環境スコア: 0

更新日: 2025年06月01日

必要なデータは、セントルイス連邦準備銀行が提供しているhttps://fred.stlouisfed.org/から取得しています。

投資環境スコアとは? - 投資判断の羅針盤

投資環境スコアとは、堀井正孝さんによる改訂版 金利を見れば投資はうまくいくで紹介されている、投資判断をサポートする指標です。

投資環境スコアは10から-10までの数値で表され、-6を下回ると景気減速の兆候、株式投資から債券投資への移行を検討するサインとなります。

逆にスコアが上昇傾向にある場合は景気回復局面を示唆し、株式投資で収益を上げやすい環境と考えられます。

投資環境スコアの計算方法 - 4つの重要指標

投資環境スコアは、以下の4つのアメリカ経済指標に基づいて計算されます。各指標はセントルイス連邦準備銀行のデータベースから取得できます。

  • アメリカ政策金利(FEDFUNDS)
  • アメリカ10年国債利回り(US10Y)
  • アメリカ社債スプレッド(BAA10Y)
  • 米ドル指数(DTWEXBGS)

これらの指標は、世界経済を牽引するアメリカの金融政策や信用サイクルを反映するため、世界経済の動向を把握し、より的確な投資判断に役立ちます。

アメリカ政策金利(FEDFUNDS)

FEDFUNDSとは、アメリカ連邦準備制度理事会が設定する連邦基金金利を表す指標です。アメリカの金融政策の動向を把握するために注目される指標で、金融政策サイクルに影響を与える重要な指標です。

アメリカ10年国債利回り(US10Y)

US10Yとは、アメリカ10年国債の利回りを表す指標です。アメリカの金融政策や経済状況を反映するために注目される指標です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

アメリカ国債の利回り(US10Y)、金利とは?フィッチによる米国債の格下げの影響は?

アメリカ社債スプレッド(BAA10Y)

BAA10Yとは、アメリカ社債利回りとアメリカ10年国債利回りの差を表す指標です。景気に大きな影響を及ぼす信用サイクルの動向を把握するために注目される指標です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

S&P500の上昇に関連してBAA10Yに注目すべき理由

2023年、注目するべきBAA10Y(社債スプレッド)とは?不景気を予測できるのか?

米ドル指数(DTWEXBGS)

米ドル指数(DTWEXBGS)とは、米ドルの対ユーロ、対円、対ポンド、対カナダドル、対スイスフラン、対豪ドルの6通貨ペアの加重平均を表す指標です。米ドルの対外価値を反映するために注目される指標です。

投資環境スコアの推移 (2024年8月以降) - 過去のデータ分析

2024年8月以降の投資環境スコアの推移を以下に示します。過去のスコア変動を分析することで、今後の投資戦略を立てる参考にしてください。

日付 投資環境スコア
2024-08-01 2
2024-09-02 -2
2024-10-01 2
2024-11-01 -2
2024-12-02 2
2025-01-01 4
2025-02-01 4
2025-03-01 2
2025-04-01 -6
2025-05-02 -6

現在の投資環境

2025年6月1日現在の投資環境スコアは0です。バイデン大統領が退任する直前は4から2程度と比較的安定していたのですが、トランプ大統領就任後は金利が激しく上下し、投資環境スコアも激しく変動しています。

投資環境スコアに深く関係する金利の観点では、アメリカ10年国債利回り(US10Y)の動きが気になります。

株式が下落する場面では安全資産である米国債が買われるのが常でしたが、今回は米国債も売られています。 トランプ大統領の予測がつかない関税政策を反映し、米ドルの信用が揺らいでいるのかもしれません。 もしそのような事態が表面化すると、米国債を安全資産とする金融の根幹がゆらいでしまうことも考えられるので、影響は非常に大きいでしょう。

ドル信認問題、開いたパンドラの箱 | 日経新聞

ちなみにアメリカ財務省が発表したデータによると、中国が米国債の保有量を2024年1月から2025年1月にかけて400億ドルほど減らしています。 これも大きな懸念材料で、米国債離れが加速すると更に金融市場が不安定化する可能性もあります。

Major Foreign Holders of Treasury Securities | U.S. Department of the Treasury

さらに懸念材料なのはMoody'sによる米国債の格下げです。

米国債格下げ、揺らぐ「安全資産」 米へのマネー回帰阻む恐れ | 日経新聞

これでS&P, フィッチ、Moody'sの格付大手すべてが米国債を最上位の格付けに置かなくなりました。 米国債が安全資産としての地位が揺らぎ、アメリカの信用力が低下していることを示しています。 今後も金利の不安定な動きが続き、金融市場の不安定化が加速する恐れがあります。

トランプ政権としても金利が上昇しているのは困るのかFRBのパウエル議長に対して利下げを促していますが、FRBとしてもインフレ再発懸念がある以上利下げに慎重にならざるを得ない事情があります。最近のCPIを見てみましょう。

データ期間 前年比 結果 食品・エネルギー除くコア・前年比 結果
2025年03月 2.4% 2.8%
2025年02月 2.8% 3.1%
2025年01月 3.0% 3.3%
2024年12月 2.9% 3.2%
2024年11月 2.7% 3.3%
2024年10月 2.6% 3.3%
2024年09月 2.4% 3.3%
2024年08月 2.5% 3.2%

引用: アメリカ・消費者物価指数(CPI)

FRBが利下げを始めたのは2024年9月です。そのときと2025年3月から物価上昇率が低下しているか?というと、データを見ると微妙なところかもしれません。 さらなる利下げのためにはワンノッチ欲しいというところでしょう。実際、5月の会合では利下げを見送っています。

米FRB 利下げを見送り 政策金利の据え置き決定 3会合連続 | NHK

さらに金利に関して頭が痛いのはアメリカの財政問題です。今に始まったことではなりませんが、アメリカの財政赤字が拡大しています。財政赤字とは文字通り国の歳入より歳出が大きい状態のことです。

米財政赤字拡大、波乱の芽 債券市場が見ていないシナリオ | 日経新聞

2024年度(2023年10月~2024年9月)のアメリカ連邦政府の財政赤字は1兆8330億ドルに達しました。 これは、コロナ禍を除けば過去3番目の規模であり、対GDP比 で6.4%と前年度から拡大しています。 利払い費が初めて1兆ドルを超えたことも特徴です。

財政赤字になると国債の発行量を増やすわけですが、そのぶん借金が増えるわけですから信用が下がり、さらなる金利上昇を招きます。利払いも増えますから、最悪の場合は国債を返済できなくなるデフォルトリスクが懸念されます。

アメリカの場合、米ドルの国際通貨としての信用力が強く安全資産としての地位が高いため、財政赤字であっても米ドルや米国債の地位は底堅いとされていますが、何かの拍子でアメリカのデフォルトリスクが強く意識されるようになると、最悪の金融危機を招きかねません。

個人投資家が資産を守るためには

厳しい投資環境が続き、金融市場が不安定になりつつある中、個人投資家が資産を守るためには、以下を徹底すると良いでしょう。

  • 優良企業のみに投資する
    • アメリカ企業に投資する場合、ビジネスが盤石であり負債が少ない優良企業を選ぶと良いでしょう。
    • 日本企業に投資する場合、ビジネスと財務資質が良いことはもちろんですが、アメリカと関係が深い企業は避けた方が無難かもしれません。内需株でありつつも成長著しい企業が良いでしょう。自分としてはKeeper技研や寿スピリッツといった企業が良いと考えており、投資機会を見計らっています。
    • 総合商社や自動車などのグローバル企業は厳しいかもしれません。彼らが世界中に構築したサプライチェーンがトランプ関税により打撃を受ける可能性があるからです。しかし、総合商社はこういった危機を何度も乗り越えてきています。今回はどんな対応をするのか見守りましょう。
  • 投資先が見つからない場合は投資をしない
    • 投資をしないことも選択肢に入れましょう。満足のいかない企業に投資をしても良くないですし、価値がわからない企業に投資をするのも良くありません。現金を保全し、次の投資機会を待つのも手です。バフェットは「いい時にしかバットを振らない」のですから。

このブログの管理人について

このブログの管理人である私「いがらし」は、ウォーレン・バフェットのバリュー投資に基づく投資を行っている個人投資家です。 投資歴は5年で、大学卒業後に金融機関に勤務したことをきっかけに株式投資を始めました。

当初は短期的な売買で失敗も経験しましたが、バリュー投資に出会い、企業のファンダメンタルズを重視する現在の投資スタイルを確立しました。

私の投資哲学は、割安な価格で放置されている優良企業を見つけ、長期的な視点で成長を1応援することです。 現在のポートフォリオについては以下のページをご覧ください。

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